起こしてもらったあのとき――…

私は寝ぼけていたのと混乱していたのとで、そんなことまで考えている余裕がなかった。


「そういえば……。何で知ってるの?」

「こっちが質問してるんだけど…。ま、あのときの感じからして、気づいてないんだろうなぁとは思ってたけど」


彼の緊張した表情が崩れ、いつもの柔らかい笑顔になった。


「答えは簡単。好きな子がどこから乗ってくんのかなって、チェックするじゃん?普通は。

俺、初めて起こしてもらったときから、ずっとあんたのこと気になってたよ」


私は、彼の言葉を信じられない気持ちで聞いた。


心臓の音がうるさい。