「………」


「…雪乃ちゃん?」



行き場のなかった腕を回して、キュッと先輩のセーターを掴む。


たったそれだけで、ただ抱きしめられているときよりも、

より近くに先輩を感じる。



(…恥ずかしい…)



いつも抱きしめられるだけだったせいか、ただ抱きしめ返しただけなのに、

すごく、ドキドキする。



…先輩はこんなに恥ずかしいことをしてくれてるんだ…。