もともと、先輩の好きな子を知らずに相談にのっていた頃から、

抱きつく回数は多いなとは思っていたけれど、

それはまだ私が先輩をなんとも想っていなかった時のこと。



でも今は、私は夏輝先輩が好きで、

夏輝先輩の“好きな子”は私で……。



「………」


「…ん?雪乃ちゃん、どうしたの?」


「…いや…ナンデモナイデス…」


「ははっ。なんでカタコト?」



赤くなった顔を先輩に覗きこまれ、顔を逸らす。


先輩は明るく笑いながらも、私から離れようとしない。