「あんな、これだけはわかっといてほしいねん」


先輩は若干焦りながらも、真剣な表情で私を見た。



「雪乃ちゃんの気持ち、大切にしてほしい。

雪乃ちゃんは夏輝にとって、大切な存在やから」



「え……」



(それってどういう……?)



イマイチ安西先輩の言葉の意味が分からずに首を傾げる。


安西先輩は私を見てクスッと笑うと、イタズラな笑みを浮かべた。



「夏輝のこと、好きって気持ち。大事にしたってや?」


「……っ!?」



かぁぁっと顔が赤くなるのを感じる。


安西先輩はもう一度小さく笑うと、私の頭をポンポンと軽く叩き、

「ほなな!」と、教室へ戻ってしまった。