困惑しながらいろんな思考をめぐらせていると、安西先輩がフッと小さく笑みをこぼした。


「それは本人に聞き。きっと教えてくれるわ。

…もう逃げられへんことくらい、アイツもわかっとるやろ」



「え…?」



逃げるって、何から…?



首を軽く傾げていると、近くにあった時計を見て、安西先輩が突然慌てだした。



「アカン!もうすぐ昼休み終わる!!」


「え、え?」



慌てだした先輩を見て、つられて時計を見ると、時刻は1時20分。



昼休みって、まだ後10分あるんじゃ……。



それでも、いきなり焦ったように話す先輩を見ていると、こっちまで焦ってくる。



「俺、日直やのに黒板消してへん!!」


「…あ、そうですか……」


安西先輩、意外に真面目なんだ…。