「…雪乃ちゃん?」



震える唇を噛みしめていると、安西先輩が驚いたような不安そうな顔をする。



…そんなにひどい顔してるのかな。



「……分からないです…」



小さく呟く。


本当に分からない。


半年以上も夏輝先輩の相談にのってたのに、

知ってるのは先輩の“好きな子”のことだけで、


先輩のことは何にも知らないんだから。