「ううん…。雪乃ちゃんが悪いんじゃなくて、俺が悪いの。だから気にしなくていいよ」


夏輝先輩は力なく笑う。


…そんなに聞いてほしくないことだったのかな。


軽く首を傾げながら夏輝先輩を見つめると、チリンッと軽快な音がした。


(…えっ)



思わず音の方を振り向くと、安西先輩が鍵を片手に鞄を持って立ち上がっていた。


…なんだ、鍵か…。



一瞬しずくちゃんだと思った私は小さく肩を落とす。