少しだけムッとしながら夏輝先輩を見つめると、先輩は慌てて手を口から外した。



「ご、ごめん雪乃ちゃん…。でも今のは言わないでほし……」


「すまん、ばっちり聞いてもうたわ」



夏輝先輩の声を楽しそうな安西先輩の声が遮り、

夏輝先輩はピタッと動きを止めた。



「夏輝、不憫やな」


「…恭介には知られたくなかった……」



安西先輩の言葉に夏輝先輩ががっくりと肩を落とす。


…私、変なこと言ったっけ?



「…すみません」


一応謝っておこう。