「……そうだな
なぁ、カイ………」


「はっ!はい……」


「行くぞ」


「……」


カイさんは蛇に睨まれた蛙のようになっていて青筋がくっきりとしるされていた


…お気の毒に





―バタン



なんだかカイさんに申し訳ないな…


私はさっきの事を思い出し、また身体が火照ってしまった



「私、なにやってるんだ……」




―ガチャ

「春奈様」


入れ替わり入って来たのはシェリーだった






「…シェリー……
恋って大変ね」


「はい??」



「これじゃ、胸が持たないわ………」



「春奈様はいい恋をしてらっしゃるのですね!

羨ましい限りです」


「でも、自信がないわ

ルイスは私の事を変わった人間としか思ってくれていないの

片想いがこんなに苦しいなんて知らなかった…」

…先程のやり取りで忘れていたがルイスには大切な人が…―





「好きになった事を
悔やんでいますか?」


「そんなんじゃない!

けど、知ってしまったの ルイスが他の女性を愛していたことを…」


「??誰がそんな事…」

「確かキードと言っていたわ」


「キード王子が?」


「王子なの?」


「ええ、ちなみにルイス様が愛していた女性とは?」


「きっと、舞踏会の時に 一緒に踊っていた姫よ」

「ナタージャ様かしら」

シェリーは首を傾け思い出すように言った


「ナタージャという姫なの?」


「はい。ナタージャ様は 隣国の姫で、ルイス様の元花嫁でした。しかし…」


「やめて!

……その話しは止めに
しましょう」