「……あの王子に誤解されるぞ
それに、春奈も見ている
他の者にも誤解されたら 面倒なだけだぞ」
「キード様は、私の気持ちに気づいてくれませんの…
だから、押してダメなら 引いてみるのです!」
「…………」
俺の言葉を無視しているナタージャに呆れて何も言えなくなる
ナタージャは俺の婚約者だったが、彼女はキードという王子が好きだと聞いて婚約を破棄した
初めから婚約する気なんてなかったからお互い争わずにすんだのだ
俺はナタージャの為に一緒に踊ることになってしまった…
多分、春奈のお節介な所が移ってしまったんだ
そうして踊っていると春奈が護衛の兵と話をして会場から出ようとしていたのが見えた
「…?」
「ルイス様?」
いきなり足を止めた俺にビックリしたナタージャが話しかけていたが
「すまない」
俺はナタージャに一言謝り春奈を追いかけた
しかし、会場は思った以上に混雑しており中々前に進めないでいた
やっとの事で会場を脱け出し、春奈がいると思われる庭へと向かった…
―――――…
…予想通り春菜がベンチに腰かけているのをみつけた
そして、春奈の小さな背中を抱き締めた