―ホールへ入ると…


賑わっていた者が魔王に手を胸に当てお辞儀をしていた…




その異様な光景に驚いていると


「顔をあげよ」


ルイスの綺麗な声がホールに響き渡る…



「今日集まってもらったのは、私と春奈の婚約の報告をするためだ」



そう言った瞬間、静まりかえっていたのが嘘のようにホールにいた者が口々に祝福を叫んだり

悔しそうに泣いている
者もいた…



「祝いの日だ。皆楽しんでくれ」




ルイスは無表情に言い
最も高い位置にある椅子に座った

私も隣の席に座るよう目線で言われたので座る事にした





だけど特にやる事がないので下で喋っている者や音楽に合わせて踊っている者を観察していた




………なんと言うか


「…舞踏会ってつまらないわね」


思わず本音が出てしまった…



「この席に座って貴族達を見下ろすのは気分がよくないのか…」


ルイスは心底つまらなさそうに言っていた



「私はどっちかというと 下で食事をしたりしていたいわ…」



「今は我慢していろ

他の魔族に斬り殺されるぞ…」


…斬り殺される?



「さっきは祝福してくれていたのに?」


「…上辺だけの祝福だ」

「虚しいものね」



「そうだな」