「昨日ぐっすり寝てたぞぉ!起こしても全然反応なかったし。」



カウンター反対側のキッチンの奥から店員がマグカップを二つ持って現れた。



身長は180くらいあるのかな、160センチの私からは見上げないと目線が合わない。


昨日はわからなかったけど、薄茶色の髪は軽くパーマがかかっていて肩に付きそうなくらいに長かった。


なんかワイルドな感じ。


てかかっこいい!!



余計に恥ずかしさが増しちゃうよ…。




「ご迷惑おかけしてすみませんでした。昨日徹夜明けで全然寝てなくて…。あの、ここどこですか?」


「ここ俺の家だよ。店から歩いて5分くらいのとこ。はい、コーヒーどうぞ。」


カウンターに置かれたコーヒー。


恥ずかしさから前髪を触りながらカウンターの椅子に座った私はマグカップに口を付けた。



もう砂糖とミルクが入ってて、私好みの甘さになってる。


ホッとする味。


自然と笑みがこぼれる。





「砂糖とミルク入れてよかった?」


一つ空けた隣から店員が聞いた。


「大丈夫です。むしろ砂糖とミルクのバランスが絶妙で私好みですよ!さすがバーの店員さん!」


言い終わると私はもう一口飲んだ。




「千佳が寝た後、それらしき男来なかったぜ。」


そうだ!昨日あてもなく優介の事待ってたんだっけ!



…来るわけないか。


やっぱあの後もあの女の子と一緒だったのかな。
あの様子から察するに前に遊んでた人みたいだったし、それにすごく仲良さそうだったな…。


頭がぐるぐるしてきて忘れてた寂しさが蘇ってきた。