食事を終えた私達はお会計を済ませてエレベーターを待つ。




会話もなく扉の上の数字を眺めていたら、右手にぬくもりを感じた。



私の右手は直樹さんの左手につながれていた。




とっさの出来事に顔を上げると、直樹さんと目が合った。




「どうしたの?」



心臓はバクバクしてるくせに平気なフリして聞く私。



素直じゃない自分がなんだかもどかしい。






「ん?千佳がかわいかったからつなぎたくなっただけ!」



…!!!!



かっ…かわいい!?





って待てよ?



さっき冗談だって返されたばっかりじゃん!




「その手には引っ掛からないよ〜!」



エレベーターの方に顔を戻しながらそっと手を離した。



何回もからかわなくたっていいのに!





その時、いつの間にか最上階に着いたエレベーターが開いた。