ソファーに倒していた体を起こしてリビングを離れようとした時、テーブルの上で携帯が鳴った。




『着信  栗山陽菜』




デート中の陽菜からの着信。



どうしたんだろう?




「もしもし?」




「あっ、千佳?今何してる?」



なんだか慌てた様子で陽菜が聞いてきた。



「何もしてないよ。一人でカレー食べてた。」



言うのも虚しい自分の状況。



いちいち聞かないでよ、もう!




「おばさんは?」



「仕事の人とご飯だって!当分帰って来ないよ。」



「そっか!よかった!」



何がよかったなの!?



「今から出れる?」



「支度すれば出れるけど…。なんで?」



「今8時だから……。
じゃあ30分後に駅のツリー前で集合ね!

あっ!ちゃんとデートする格好してきてよ!
じゃあね!」



「えっ!ちょっとまっ……」


プツン………。




切れた!




デートの格好って、一体私をどこに連れてく気!?





部屋の時計は見ると8時5分…。



げっ!どっちにしても時間がない!



急がないと!





私は2階に駆け上がると自分の部屋に入り、服選びとメイクを始めた。