知らなければ知らないで幸せなことって世の中にはたくさんある。




今私が聞いたことは恐らくその部類に入るんだろう。




優介と久美って子の今まで関係なんて、聞いたところで私は何も得をしないし。


でも自分の感情が抑え切れなかった…。



気付いた時には勝手に口が動いてたから…。






「うん…。ごめん。」




何故だろう…。



悲しいのに不思議と涙が出ないな。





なんでだろう…。



私より目の前の優介の方が泣きそうな顔してる。






「昨日教室に来た子も久美って子だよね?彼女でしょ?好きな奴って…。」



「……まぁな。」



「その子の事、ほんとに好きなの?」



「…あぁ。」





「私の事、嫌いになった?」


はっとした顔をして私を見る優介。




「そうじゃないんだ。

でももう千佳とは付き合えない。
ごめん…。」



そんな悲しい顔しないで。


別れ話されてるのは私なんだから。



そんな顔されたらもう責められないよ。



「わかったよ。
今までありがとね。」



私はそう言って笑顔を作った。



もしかしたら引き攣ってるかもしれない。



でも、お願いだから最後まで聞き分けのいいふりをさせて…。