笑顔で陽菜を見送ってしばらくすると、向こうから優介が歩いてきたことに気付いた。




隣にはさっき聞いた通り、女の子の姿がある。



目が合うと、気まずそうな顔をした優介が女の子に何か話し始めた。





「…じゃあ例の件、よろしくね!」




そう言うと優介を残して彼女が下駄箱へ走り出した。





「おはよ千佳。」



「おはよ。話したいことあって待ってたんだ。今からいい?」



「俺も話あるんだ。屋上でいいか?」



「うん。」








今日の屋上は案の定寒くて、この前優介とエッチした時とは全く違う場所のように感じる。



なんか話あるって言ってたけど、優介はここに来るまでの間何にもしゃべらずに浮かない顔をして私の前を歩いていた。



ふたりの間に重い空気が流れている。




お互い何を話したいのかまだ言ってないのに、私はまるで手に取るように感じていた。