…直樹さん、すごいね。



なんか感動しちゃったよ。



優介の事一番に考えてるんだ。



直樹さんの優介への愛情は深いよ。



両親が亡くなって悲しかったはずなのにちゃんと前を向いているんだ!






なんか、なんて返していいかわからない…。



私が今何を言っても安っぽく聞こえてしまいそうで…。




「そうだったんだ。」




この言葉を言うのが精一杯だった。



優介も、悲しみを抱えて生きてきたんだね。






「あっ!今の優介には内緒ね!」



「えっ?」



「あいつ、俺が進学しなかったこと今でもすげー怒ってんの!」



「あっ、だからお兄ちゃんと仲良くないなんて言ってたんだ。」



「マジ!?あいつそんなこと言ってたの?なんか冷てーなぁ…。」



やばっ!なんかまずいこと言っちゃったかな?



「あっ!これも内緒ね!」




さっきの直樹さんのセリフを繰り返したのがなんだかおかしくて、私達はお互い顔を見合わせて笑った。





「あいつは人の心の痛みをわかってるはずだから、きっと千佳の事も真剣に考えてると思う。」



「うん。

私逃げずに明日ちゃんと話してみるよ!」



「おう!」



月と直樹さんに見守られて、私はそう決心した。