「ふぅ〜、お腹いっぱい!ごちそうさまでした!」



おいしすぎて一気に食べちゃった!




「腹もいっぱいになったし、ちょっと散歩でもするか。」



お店のおじさんにお金を払った直樹さんは、海岸に向けて歩き出した。






黒くて大きな海…。



海と空の色が混ざって果てしなく続いてるみたい。



波の音だけが暗闇を包み込む。



しっかり立っていないと飲み込まれてしまいそうだ。






ーーぶっ!



ちょっといきなり止まらないでよ!



周りをキョロキョロしながら歩いていた私は、急に止まった直樹さんの背中にぶつかってしまった。




「うおっ!ごめん。大丈夫か!?」



「う…うん!私の方こそよそ見してたから。」






「ここ俺の秘密基地なんだ。」



そう言うとテトラポットの方へ歩き出した。




「よく悩み事があるとここに来たんだ。

なんか懐かしいな。」




私も直樹さんの隣に座ってみた。



目の前には真っ黒な海と、それとは対照的に光る月が見える。




すごく神秘的な景色…。



月ってこんなにきれいに光っていたんだね。



いつも見ている月と同じはずなのに、違って見えた。



「優介のこと、信じてやってくれな。」




景色に見入ってる私に隣から声がした。