窓の外に目を向けると、さっきまで夕焼けで赤かった空が薄暗くなっていた。




すれ違う車はライトを付け始めていて、街がだんだん夜の顔を見せる。




いつもだったらわくわくしながら見る夜景も、今日はあんまり気分が乗らない。


胸の中にあるしこりが喉の奥を塞いでるような、そんな重いものを感じていた。


夜景がこんなに寂しいと感じるなんて初めて。





せっかく直したメイクがまた崩れないようにと、膝の上の鞄をぎゅっと握りしめていた。






「着いたぞ。」



いつの間にか車は目的地に着いたみたい。



ここは…港?



車を降りると潮の香りが私を包む。





「ここでご飯食べるの?」



こんな所で何食べるんだろう?


周りを見渡してもそれらしきものは見当たらないし…。




「そう!こっちだよ。」



人気のない港ってなんだか怖いな。




この時間、静まり返ってる港は波の音が大きく感じて、なんだか飲み込まれちゃいそうな錯覚に襲われる。


どこに行くんだろう…。