「こんなかわいい彼女がいるのに、優介は何やってんだろうなぁ…。」



すぐ近くで聞こえる声…。


直樹さんの声…なんだか安心する…。






  ぐぅ〜…






すぐ近くで聞こえるお腹の音…。




「わりい…緊張感ゼロだよな、俺…。」




「…ふふっ!ごめんね、付き合わせちゃって…」



さっきまで泣いてたのに、お腹の音聞いたら急におかしくなっちゃった。



「千佳腹減らねぇ?」



「ん…、ちょっと減ってるかも。」



腕の力が緩んで目の前が明るくなる。



「飯食いに行くか!」



そう言ってニカッって笑う直樹さん。






…ドクンッ……






また胸が強い鼓動を打つ。



さすが兄弟って思っちゃった。




笑った顔、優介にそっくりなんだもん。






「じゃあ荷物持ってくるから駐車場で待ってて。黒くてでかいの俺のだから!」



直樹さんの背中を見送って、ふと思い出して鞄から鏡を出した。



うわっ!不細工な顔!



アイラインとマスカラが剥がれ落ちて目の下が黒くなってる…。



こんな顔見てたのか、直樹さん…。



素早くメイクを直して駐車場まで向かった。