なんで追い掛けなかったの?
なんであの子にやだってはっきり言えなかったの?
なんであんな電話かけてきたの?
なんで…
なんで私を置いて行ってしまったの…?
自分に…名前のわからないあの子に…優介に…無償に腹が立った。
どれくらい時間が経ったのかわからない。
教室は人影が消えて、私はひとり残されていた。
ドクドク音を立てる心臓の音だけが耳に響いている。
どうしよう…。
今頃あの二人は……。
考えたくない!
優介を信じるって決めたのに、その決意はあの彼女の言葉によって崩れ去ってしまいそうになる。
だめだ!
私は優介を信じるんだ!
大丈夫…。
大丈夫だよ。
自分に言い聞かせてることに気がついた時、目の奥に熱さと痛みを感じた。
熱いものは目から溢れてスカートの上に落ちる。
私はひとり、窓際の優介の席で泣いていた…。