「おっ、岸本は仕事が速いな!
もう出来たの?」



そう言ってパソコンの画面を覗き込んできたのは茶髪の嘘つき男。



「はい。

エクセル結構得意なんですよ。」



普通に話したいのになんだか変に意識しちゃうよぅ…。



手に変な汗が出てきた。





「あっ、ここの数値違うぞ。」



「えっどこですか?」



直樹さんは表の脇にカーソルを合わせてキーボードを叩いた。





  『 今朝はごめん 』


!?



数字が並ぶ画面に不自然な文字が打ち出された。




直樹さん、周りにバレないようにこれで会話しようとしてるんだ!





「こうですか?」



『 何が? 』




「そうそう。

んでここをこう。」



『 俺嘘ついた 』




「あっ、そうか。」



『 バレるの早かったね笑 』










………あれ?



もうキーボードに直樹さんの手が伸びない。



もう秘密の会話は終わり?




「これで完璧だな!」




見上げるとすまなそうな表情の直樹さんが見えた。