息を切らせながらやっと階段を上ってフラフラしながら教室のドアを開けた。




教室にいた陽菜を見つけて


「陽菜〜!もう置いてかないで…」



文句を言いかけた私は動きが止まってしまった。







薄茶のパーマで長めの髪、陽菜より頭一つ分出た高身長の男が視界に入った。






どっかで見たことのある顔。






私は今朝のコーヒーを思い出した。



昨日のバーでカウンター越しに見た顔。



そして名前は直樹だと笑顔で教えてくれた人…。






陽菜が楽しそうに話をしている相手は間違いなく直樹さんで、間違いなく臨時講師だった…。







うそ………。






文句を言うどころか何も言えなくなってしまった。