「やべっ!もう7時だ。」


その言葉に壁の時計を見た。



時計の針はちょうど7時を指してる。



「私学校行かなきゃ!」


「家どこ?送るよ。」


「私の家あの店の近くだし大丈夫です。コーヒーごちそうさまでした。」



私はマグカップをカウンターに置いて立ち上がり、かばんを掴んで玄関に行った。




「俺、店員さんじゃないよ。」


後ろから声がした。



………??



どういうこと?


店員さんはフッと笑って続けた。


「直樹っていうの、名前。
店員さんじゃないから。」



それは昨日見た仕事用じゃない、素の笑顔だった。



「また一人が寂しくなったらお店に遊びにおいで。」




その気遣いだけで充分だよ。


私は甘いコーヒーのおかげでちょっとだけ心が軽くなっていることに気がついた。



「ありがとう直樹さん!じゃあね!」


私は直樹さんの家を後にした。