「彼氏と何かあった?」


コーヒーを見つめていた目線を店員さんに向ける。


座ってても背の高さは隠せないなぁ…。





「昨日ね、彼氏の携帯から着信があったんだけど出たら知らない女の人だったの。彼氏とラブホにいるって言ってた。


本人の声もしたから女の人はたぶん嘘ついてないと思うんだ。」


「彼氏電話に出たの?」


「出たっていうか声が聞こえてきて…。シャワー浴びながら女の人と話ししてた。」


「…………。」





なんで店員さんにこんなこと話してるのかわからない。


でも言葉に出したら本当のことになってしまったみたいで目の奥が熱くなった。

今までなんで出なかったんだろう…。


よりによって店員さんの前で涙が出てしまった。




「こんなかわいい彼女泣かすなんて馬鹿な奴だよなぁー。」


そう言いながらティッシュの箱を差し出してくれた。




「あのお店、彼氏に前連れてってもらったことがあるんだ。

昨日はいなかったオーナーっぽい人と彼氏が仲良さそうに話してたから、たぶん行きつけのお店だと思う。」


「へぇ〜。柴崎さんの知り合いかぁ。彼氏の名前なんていうの?」



知り合ったばっかりの人に彼氏の名前言うのってなんだか気が引けるなぁ…。



「……優介。川嶋優介って言うんだ。


店員さん知ってる?」



一瞬眉毛がピクってなった気がした。


でも


「…知らないなぁ。今度柴崎さんに聞いとくよ。」


って返された。