まぁ、バトンタッチされたわけだが。


それはおいておいて。

ピロリロ〜リロ〜リンと、初期設定状態の着信音が鳴った。


「んっ……、昌太ぁ、誰から?」
女(推定21才)――サチコは甘ったるい声を出し、俺に抱きついてくる。


尚弥か……。


よし、無視。

俺は迷いもなく躊躇わず、電話を切った。



サチコ(彼女でも何でもない)はセフレとしてはいいが、このまとわりつく何とも言えない甘ったる声と匂いには嫌気がさす。


けど、体の相性は抜群にいいんだよなぁ……。

尚弥(の着信)のせいで、気がそれた。


今日は一回ヤったからいいか。

「昌太ぁ、もっとしてよぉ」

甘ったる声で耳元で囁くサチコに俺は軽く頭が痛くなった。


そしてまた、ピロリロ〜リロ〜リンと着信音のメロディが鳴った。

今度は誰だよ。


また、尚弥か……。


多分、今度出なかったら、何回でもこいつは、鳴らしてくるだろう。


何回も電話してくるのも面倒でウザいので仕方なく俺は、嫌々ながらにして出る。


「もしもし。一体何の用だ?」