どうしてなんだよ…


刑事たちは俺が犯人だって、決めてかかってるし。





このまま周と会えないまま…


いや、会えたとしてもあいつにどんな顔されるのか……


髪が落ちてたって事実は言い逃れができない真実だし、犯人じゃない!って言ってもあいつは信じてくれるのか…


周に疑われて、軽蔑されることを考えると―――心臓がねじれるように痛む。


そんなことを思って項垂れていると、覚えのある香りと靴音が近づいてきた。


俺が顔を上げると、鉄格子の向こうでスラリとスマートな周がポケットに手を突っ込んで立っていた。


後ろにさっきのいかつい刑事を従えている。


「周……」


弱々しい声は冷たいコンクリートに吸い取られて、あいつの元に届いたのか分からない。


周はちょっと後ろを振り返ると、


「俺はこいつに聞きたいことがある。外してくれないか?」と刑事に無表情に言った。


「しかし!」刑事が目を吊り上げたが、


「下がれと言ってる!」と周が声を荒げた。


威圧的な声に―――俺も刑事もびくりと肩を震わせ、やがて刑事はしぶしぶ帰っていった。


周は怒ってる……?


だけど周はわずかに顔を斜めに向けて、顔に翳りを滲ませていた。


その表情が―――場違いにも色っぽいと思ってしまう。





「ヒロ。………すまない」


え―――………?






「悪かったと思ってる。こないだは無理やり突っ込んで…」






えっ!?


そこ!?今謝ること!!?


いやいやいや…


「この状況を見て、他に言う事があるだろ」


相変わらず意味不明の周に、俺は呆れたように盛大にため息を吐いた。