「美味しいですよ……、ふふっ店長さんて、人気者ですよね、いつも忙しそう」




“ホントに何で、勝平がいないと色っぽくなるのか? いや、もしかしたら拓郎だからか?”この前の勝平の苛立ちはこういう事か、と志郎は思い当たりました。




「拓郎、向こうを頼む」




一瞬不満の色を浮かべた拓郎でしたが、上司であり一目置いている志郎の指示なら仕方ありません。




そして、いつもなら店内を均一に見てまわる志郎があまり来ない事に、店長贔屓の女性客がざわめきだした頃に勝平が現れました。




志郎は片手をあげて笑顔を向けますが、拓郎はそれを苦々しく見るのでした。