「銀子さん来てるぞ」




携帯に出ると、予想通りの相手からの予想通りの質問でした。




休日が不定期で、店長の志郎や実質的に副店長のような位置の勝平は、時々他の従業員と休日を変わってあげたりもしていました。




OLの銀子とは休日も合わないのでデートに誘うのも難しいだろう、と思うと勝平の先行きに不安を感じる志郎でした。




「銀子さん、拓郎のカクテルはお気に召しましたか?」




心の中が例えヤキモキしていても、志郎の営業スマイルはピカ一です。




拓郎が本気で銀子を狙っているのか、せめて確かめるくらいはしよう、と思っていました。