私が固まってしまっている間、お兄さんはずっと狼狽していて


「あああ、どうしよう・・・僕がもっと見ておけば・・・」


とか


「怖かったですよね?ほ、本当にごめんなさい・・・!」


とか

「(お兄さん綺麗だなー・・・)」


「ま、まさか凱那さんに一秒でも恐怖を感じさせてしまうなんて・・・!」


とか・・・・・・・


――――・・・・・・・・ん?


「・・・・・あ、の・・・・・」


「凱那さんの綺麗な綺麗な顔に、いや髪の一本にでも傷がついていたら・・・・!」


「あの・・・・・」


「あああ・・・そ、それこそコンクリートのセメント臭が凱那さんの可愛いお鼻に触れていたら、一体どうやって償えばいいんでしょうか・・・!」




直感で解りました。


今すぐこの場を逃げなければ!!!


恐らくってか絶対!



この人がストーカーさんだああああぁっ!!!!!





そうと決まれば私の行動は早いもので


ストーカーさん(仮)の胸を押して、一瞬できた隙間から抜け出すと・・・・



逃げろ――――っ!!!