希彩は私の三つ年上で、さらには成人している大人

しかも病院の院長というハイレベルな地位をお持ちのやんごとなきご身分。


社会人の男性に、まず何をプレゼントするべきか。


・・・・・これが先輩とか同い年の男なら特に悩む必要はないのに・・・・!!


例えばシルバーアクセサリーだったり、帽子や靴など今時のものをプレゼントにすればいい。


だけど、社会人ならまずそう言ったアクセサリーなどを身に付ける機会がグッと減るし、オマケにかえって邪魔になると思う。


しかも希彩は立場が立場だから、やっぱ交友関係も広くてハイレベルな人達ばかりだろう。


そう思ったら、とても安易にプレゼントなんか考えられない。


でも、希彩はいつも何かと私を気にかけてくれるし(何故知っているんだと言いたくなる時もあるけど)


言葉の感謝だけじゃなくて、ちゃんとお礼がしたい。

・・・・・・でも、どうしよう。


そこで、私はハッと気が付いた。



―――――乙女の、顔・・・・・・・・。


秋季大会の帰り、由紀ちゃんは私にそう言った。


あの時は、ありえないとしか思えなかったけど


今ならちょっと分かるかもしれない。


だって前の私は、自分を

「ストーカーの被害者」って思ってた。

ただ、それだけだった。

色々と私を気にかけてくれる希彩に、前から一応感謝はしていた。

だけど今の私みたいにこんな頭を抱えるほど希彩の為に何かやろう、なんて考えたことはない筈。


希彩の隣にいることも、前の私なら絶対にありえないことだった。


ストーカーだから、って不安だったのに。信じられない、ってメールで言ったときもあったのに。



ちら




隣の希彩を見上げる。

思えば最近はふとした時の、希彩の行動に心臓が高鳴る。


・・・・・・・・・もしかしたら私・・・・・・・・・・・




「・・・・・・・・・・・・もしかするかも。」