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「――――それから少年は、人の命を救うお医者様を目指しました。」


そこで、希彩は深く息を吐き出した。

話している途中、何度か希彩は少し黙って考える素振りを見せ、その後あやふやにされた部分もあったけど

私は驚きで声がでなかった。



――――私が、見た夢と同じ。

記憶ははっきりしてなくて曖昧だけど、内容が似てる気がする。


何処かの屋上で、私は誰かと話をした。



――――・・・・・・じゃあ、あの公園とかは何だったんだろう。




「(・・・・・偶然、かな。)」



・・・・・・これ以上は考えちゃいけない気がして、私はもう考えることを止めた。



「・・・・・凱那さん?大丈夫ですか?」


希彩の呼び掛ける声に、現実に引き戻される。


「あ、うん。何?」


「あ、いえ・・・。え、っと、あ・・・もうすぐ家につきますよ。」



そう言って、信号で止まっていた車が動き出した。


話は車に乗ってからしましょう、と希彩が言ったので先程の話は車内で聞いていた。

「えっ、もう?」


だからか、随分家につくのが早く感じる。


窓を覗き込むと、確かにもう目の前に私の家が。



「つきましたよ。」


「うん、ありがとう。」



希彩にお礼を言って、玄関を開ける。


すると後ろから



「・・・・・・凱那さん。」


やけに神妙な声が聞こえて振り返った。


「・・・・・・希彩?」


「・・・・・・凱那さん。あの・・・・・・」


「・・・・何?」


「・・・・・・いえ、何でもありません。・・・・・・おやすみなさい。」


「・・・・・?うん、バイバイ。」


希彩の言動に少し疑問を感じたが、特に気にすることはなく私は軽く手を振って、家へと入っていった。


だから、その時


扉を閉める直前で希彩が言った言葉に気づけなかった。





「・・・・・・・あの話には続きがあるんですよ、凱那さん。」





バタン