すうっと息を吸い込み、
「わ、私があんたに尽くすことにしたの!」
言った・・・・・・・!!!
言ったぞ、私は!!!
心の中でガッツポーズを決める。
はてさて、これを言った後の希彩の反応は・・・・
「・・・・・・・・・・・・い、嫌です。」
「・・・・・・・・は?」
What???
今、何て言ったかしら?
「あああの、そ、それはもう僕のような下僕には身に余る程に有り難いお言葉で、卑しい家畜ごときがお断りできるものではないと重々承知しています。」
「でも・・・・」と希彩はそこで言葉を途切れさせ、俯く。
「・・・・・・決めたんです。僕が、僕の全てを凱那さんに捧げると。だからそれは、僕のやる事なんです。」
・・・・・・・・・・・希彩?
俯いていて表情は分からないが、その声には切実な色が含まれていた。
まるで自分に言い聞かせているように。
「・・・・・・何で・・・・・」
どうして、そんなに私に固執するの?
私は、希彩とはつい最近会ったばかりでしょ?
そもそも、希彩は何で私をストーカーしようと思ったの。
私達は初対面じゃないの。
希彩は、・・・・・・・何か知ってるの?
「・・・・・・・帰りましょうか。」
パッと顔を上げた希彩は、にっこりと笑った。
・・・・・つもりだったのか。
今にも泣きそうに眉をしかめて、なんとか笑顔を作っている。
希彩の表情は、そんな切なげなものだった。
その表情で、私に手を差し伸べてくる。
希彩・・・・・・・貴方は、一体何を背負ってるの・・・・?
「・・・・・ま、待って!」
ぴた
今のこの時を逃したら、希彩は一生教えてくれないかもしれない。
そう思った私は、希彩の手をとって叫んでいた。
「わ、私と希彩は、・・・・・・・・・・・・希彩は、何を知ってるの!?」