「凱那さんに感情に任せて掴みかかり痛みを感じさせあまつさえ恐怖心を抱かせるなどこの上ない失態でございます。怒りで我を失い凱那さんを傷つけてしまうなど愚の骨頂。僕が未熟なせいで凱那さんの心に深い傷を追わせてしまいました事を衷心よりお詫び申し上げます。許していただこうなどとは毛頭思っておりません。それこそ愚行甚だしいというもの。どうか凱那さんの心が少しでも晴れるように僕の首を切ってくださいお願い致します。僕なんかの命一つで凱那さんのお心が晴れるなどと自惚れている訳ではありませんが少しでも癒されればと思う次第です。凱那さんの麗しい肢体で振るわれた刃をこの僕の首に刺していただけるなど贅沢極まりない死に方ではありますがどうかお好きなように僕の命を絶ってください。」


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だ、誰か、助けてください・・・・・!!!!



目の前には、地にめり込む勢いで土下座をしながらノンブレスで呪詛のような言葉を吐き続ける蓼科 希彩(20)


しかも後半につれて死とか首切れとか物騒なこと言ってるのに、声が恍惚としてきてる・・・・・!!!


「凱那さんの美しい肌を僕のような家畜以下の存在の血で紅く染めていただけるならこれ以上幸せなことはございません。その柔らかく細い腕に込められた力で僕の首を切ってくださるならそれはもうどれだけ甘美な痛みが来るのだろうと想像するだけで涎が・・・いえ興奮、いえ痛ましく思ってしまいます。ですがそれは僕が」


「帰る!!!!」



狂ってるよこの人!!!怖いいいぃぃー!!!!


背筋を冷たいものがなぞったような恐怖が体を襲う。

これ以上は危険だと土下座をしている希彩を放って車に向かった。