「やっぱり綺麗・・・・。」


じゃり



敷き詰められた小石を踏み鳴らし、目の前の真っ赤な鳥居を見つめる。

小さいけれど、かなり古いその神社には、私を二人分くらいの横幅の大きな樹木があった。


その樹に近付き、太くて苔のついた幹を手でぺちぺちと叩く。


「・・・・・大きい。」


見上げると、視界一杯に葉の緑。

神秘的な空気を味わいながら、目を閉じる。


心が、澄んでいくようだった。


「・・・・神隠しにあっちゃったりして。」


「凱那さん、一人で何処かに行くなんて危ないですよ。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おやおやぁ?




バッと後ろを振り向くと




「え・・・・・・希彩!!?もも、もう戻ってきて・・・・!?」



「・・・・・・すみません、お待たせしました。」



にっこりと微笑みながら、希彩が立っていた。

でもその顔の中心辺りにあるものに違和感を覚える。



「・・・・・・・希彩、眼鏡なんてしてたっけ?」


そう


希彩は青いフレームの眼鏡をかけていた。


「ああ・・・・はい。いつもはコンタクトなんです。」


「もしかして、それを取りに行ってたの?」


「え・・・・あ、はい。そうです。ふふ、珍しいでしょう?」


ふんわりと微笑んで、手を差し出す。


「・・・・凱那さん。」


――――――違う。



何かが、違う。




ざわりと心が波打ち、全身が違うと訴え始めた。



違う。



――――――希彩じゃ、ない。




「・・・・・凱那さん?」