「―――もしもし、由紀ちゃん?うん、ごめん。・・・うん、あのね私、親が迎えに来たからそれで帰るね。・・・うん、じゃ、また明日。お疲れ~。」
ピ
ボタンを押して通話終了。
軽く息を吐き出して、ちら、と横に視線を向けた。
「と、凱那さん、あ、あの、荷物は此処に入れておきますね?」
「・・・・・・・ありがとう。」
さっきの大人な希彩は何処へやら。
もうすっかりヘタレモード全開の希彩を冷めた目で見つめた。
ごめんね、由紀ちゃん。それからありがとう。
心の中で土下座をしていると、
「あ・・・・っと、すす、すいません凱那さん。あの、ちょっと、会場に忘れ物をしたみたいです・・・。さ、先に、車の中で待っててください!」
「え、ちょ・・・!」
「すぐに戻ります!」
希彩は、わたわたと急いで会場へ走っていった。
「・・・・車で待ってろ・・・って・・・。」
車内で一人待ってるのは余りに退屈だ。
丁度車を停めてある場所の隣に、小さな神社があることを思い出した私は
「・・・・・少しだけなら良いよね。」
携帯もあるし。
自己完結をして、私は神社の方へ歩き出した。