「勝負あり!」




面を外し、息を吐き出す。

これで三勝目・・・・・



そう思っていると


「凱那先輩、凄いですね!これで三勝目ですよ!」


後ろから、李音が興奮気味に駆け寄ってくる。


「お疲れさま。今のでベスト8だよね?」


「・・・・由紀ちゃん、李音・・・・。」


由紀ちゃんが、はい、と渡してくれた水筒を受け取り、汗の伝う喉を動かした。


「・・・・・うん、一応ね。でも次で負けちゃうよ。」


「大丈夫、自信もって。凱那は、私達女子のエースなんだから。」


ここまできて、流石に集中力が切れてきたかな・・・。
頭の片隅でそう感じ始めたときに、由紀ちゃんが優しく私の肩に手を置いて励ましてくれる。

そんなに言われたら、頑張るしかない。

次に備えて気合いを入れ直し


・・・・・・ちらりと、観覧席を見た。



「・・・・・やっぱりまだ来てない・・・。」


さっきから気が付けば会場を見渡している。


今日は行けると言っていた希彩の姿を探して。


・・・・でもまだ見つからない。

人が多すぎるってのもあるけど・・・・


でも希彩みたいな、一度見たら忘れないくらいのイケメン直ぐに見つかると思うのにな・・・・


見た目だけは良いから。見た目だけは。


「凱那先輩、あと三試合後ですよ!」


李音の声に、ハッと現実に戻された私は、慌てて面をつけ始めた。