駅につき、改札口を出ると


「やだ、こっちは雨降ってたんだー。」


小雨がパラパラと地を濡らし、空気が重く冷たくなっていた。
でも、水を吸ってどんよりとした色の地面に比べ、雨はそれほど強くも多くもない。


「きつい雨が一度降ったんですね。」


掌を上に向けて、地面と同じ色の雲を見上げながら李音が呟いた。


「キツくならない内に帰ろう。明日、頑張ろうね。凱那、李音。」


由紀ちゃんは、バイバイと手を振って雨の中を走っていった。

「凱那先輩、明日頑張りましょうね。」


それに続くように、李音も一度頭を下げて、走り出す。

私は、ヒラヒラと手を振りながら、また暗い色の空を見上げた。



心の中は、さっきの由紀ちゃんの言葉がぐるぐる回っている。


「・・・・・・・・。」


・・・・・・乙女、か。

まだ、分からない。

私は希彩をどう思ってるんだろう。




「―――ね、あの人格好良くない?」

「一人かな?可哀想に、雨に濡れちゃってるよ。」



・・・・・・私も傘無いんだけど。やっぱイケメンだと、そんな哀れみを貰えるんだ。

二人の女性の話を聞いて、若干世の中の不条理を感じる。
そして一体どんなイケメンなのか興味が湧き、女性達が指をさす方を見た。



「・・・・・・・・・・・・え・・・・。」



唖然。