ちょっと金の混じった淡い茶髪

遠目からも分かる高い鼻筋に、幼さの残る童顔。

間違いない・・・・・・・

希彩・・・・・・・?



でも、すぐにそんな訳がないと一蹴する。

希彩は私よりも三つ年上だし、剣道なんてやってる筈・・・・・・


そこではたと気が付いた。


―――――聞いたことがない。



私は、希彩について何も知らなかった。


そうだ。希彩は私の事を全部知ってるくせに、私は希彩の事を何も知らない。

不公平じゃない。

希彩のそっくりさんは気になるけど、今はそれよりも希彩との不公平をどうにかしたくなった。


携帯を取り出し、止まること無く立て続けに指を動かす。

あいつばっかりが知ってるのはムカつくし!


「・・・・送信っ!」


ピッ


打ち終わり、携帯を閉じる。妙な達成感が心に溢れた。


後は返信を待つだけっと!

改めて双眼鏡で、希彩のそっくりさんを探す。


うーん、かなり似てる・・・・・・・・。
実は希彩の親戚とかかな?
今日は団体のプログラムだけだったので、高校名は載っているが、選手名までは書いていない。

明日の個人戦のプログラムには載っているだろう。

今日団体で出たってことは、明日も出るだろうし、その時に見たら良いよね。



すると、いきなり携帯が鳴り出した。


え、・・・・・・電話?



「・・・・ちょ、ちょっとごめん。」


「凱那?」


携帯を持って、会場の外へ出た。