お風呂に入り、部屋に戻るとベッドの上に投げていた携帯が光っている。
携帯を拾い、中を開くとやっぱり希彩からだった。
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今日はすみませんでした。
少し、凱那さんの彼氏になれて浮かれていたようです。
凱那さんさえ良ければ、明日もまた迎えに行って宜しいでしょうか?
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「・・・・・・。」
少し、驚いた。
昨日からのメールは全部、
「今、何処に居るんですか?」
とか
「次は古文の授業ですよね。」
「今日はどんな髪型なんですか?」
「今日のお弁当はどんなものなんでしょう?」
「今は昼休みですよね。何をしていらっしゃるんですか?」
「お友達と何のお話をされましたか?」
「凱那さんの姿を早く見たいです。」
・・・・・・等の、細やかな現状報告が求められるものばかり。と言うか何故知っている。
だから、今みたいなメールは初めてで、むしろ新鮮だった。
もう一度メールを見る。
「・・・・・・普通だ。」
希彩が携帯の前で反省している姿が浮かんで、ちょっと笑いが込み上げた。
今の私はきっと可笑しい。
携帯を打ちながら思う。
今はお風呂上がりだから少し頭がのぼせてるんだ。
希彩が珍しいメールを送ってくるから、私も珍しいメールを送りたくなっただけだ。
「・・・・・あ~・・・・」
そんな風に理由をつけてないと、私がこんなメールを打つわけない。