な、何なのこの人・・・・!!
よく分からない、焦りのようなものが胸を渦巻き、思わず走り出してしまった。


「え、あ、あのっ!と、凱那さん!どうしたんですか!?」


「知らない!私は放っといて!」




―――――――

家の前に着き、息を切らしながら立ち止まる。


「はぁ・・・・荷物、ありがと・・・・」


「はい。大丈夫ですか?」


・・・・・何でこいつは、私の分の荷物を持ちながら走っといて、けろっとしてんのよ。

少し殴りたい衝動に駆られたが、そこは我慢して荷物を受け取った。


「・・・・・じゃ。」

そして軽く会釈をして家に入ろうとすると


「あ・・・・凱那さん・・・。」


「・・・・・何?」


希彩に呼び止められ、振り返る。


「・・・・・希彩?」


また、あの表情だ・・・・。

何だろ。


そう思った瞬間、希彩がぱっと顔を上げる。

見慣れた柔らかい笑顔に戻っていた。


「・・・・いえ。また、明日。」

「・・・・・・?うん。」


にこっ


満足そうに希彩は微笑んで頷き、踵を返して帰っていく。


「・・・・・・・?」



何か違和感を感じた気がするけど・・・・・・


「・・・・・・良いか。」




扉を閉めた。