・・・・・・どうしてこうなった・・・・!


さっきからずっと私の一歩後ろで、にこにこと笑みを絶やさないこいつ。


だけど



「・・・・あ、凱那さん。荷物は僕が持ちますよ。」

「凱那さん、寒くないですか?」

「足は疲れてませんか?」

「ふふ、髪の毛を束ねてる凱那さんも素敵です。」

「可愛いです、凱那さん。」
「凱那さん」

「凱那さん・・・」





ぜえぇぇええぇ―――――!!!!!!


さっきから凱那さん凱那さん凱那さん!!!

私の名前を無駄に連呼するなっての!!!!!

呼んでも減らないとか言うけど、着実に減ってるから!
私の精神力とかね!!


「凱那さん。」


ぶち


はい、我慢の限界突破ー。


「何よ!!」


怒鳴りながら希彩を睨み付けてやると


「えっ?あ、う、す、すみません!」


わたわたと眉を下げた困り顔で謝りだした。


「う・・・・・・な、何でそんなに私に構うのよ。」


一言怒鳴ってやろうと思ってたけど、そんな顔をされれば鎮静してしまう。若干語気の緩んだ口調で聞くと


「と、凱那さんが好きだから当たり前です!」


「・・・・・な。」


輝くばかりに眩しい笑顔で、すんごい事を言いやがりました。