く、車・・・・って・・・・


「無理無理無理!絶対あんた拉致るでしょ!」


「え、ええっ!?そんなことしませんよ!凱那さんを家まで送るんです!」


ぶんぶんと目の前で必死に手を交差させる希彩。


でも


車なんて、拉致監禁に必須アイテムじゃない!!!


「いーやー!私は歩いて帰るの!悪いけどほっといて。」


そのまま私は逃げるように去った。



・・・・・・・・・つもりだった。


がしりと腕を掴まれ、振り返ると希彩がにこりと笑い


「―――じゃあ、僕も一緒に歩いて送ります。」




「は?」



ぴ、と小気味良い音をならし車の鍵を閉めると、私の一歩後ろに立った。



「凱那さん、帰りましょう。」