「・・・・・っ!!」


「えっ、わっ・・・・!!」



ぐるりと視界が反転して、また強く抱き締められた。
でも先程と違うのは、真正面から向かい合わせに抱き締められているということ。
目の前には希彩の胸があり、そこに押し付けられるようにされているから、希彩の匂いをいつもより強く感じた。


わ・・・・

――――甘くて、爽やかな、

・・・・・・レモン、みたいな香り。


って違う違う違う!!!!何で匂いのリポートしてんの!!!

ってか!
ななな何やってんのこの人!!!!?



「あ、あの!き・・・きい、ろ!?」


内心かなり焦りながら、希彩の胸を押し返す。

だけど、びくともしない。ちくしょう。


すると突然


「ひぃ・・・・っ!!」




ぎやあああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!

ななななな何してんの!!!何してんのこいつうううう!!!!!!!


私の首筋に、希彩が顔を埋め、耳や髪に鼻を近づけすんすんと嗅ぎ始めた。



「ちょ・・・・!何!?何!?」


く、くすぐったいいい・・・・・・!!!


必死で希彩の肩を押すが、当の本人はまるで気にせず続行中。


ちょ、ホント、なに!?

しかも私今・・・・・



「き、希彩!!わた、私今汗臭いったら!!!」


「・・・・・確かに、匂います。」


「っ!!」



カアッと顔に熱が集まるのを感じた。
それと同時に悔しさと怒りが沸き上がってくる。


「・・・・・だ、から!!!」