「あ、島部先輩来てたんですか!」
「よ、茲重。」
部室に行くと、島部先輩が紺の胴着姿で竹刀を振っていた。
「じゃあ今日、ちょっと突きを教えてくださいよ。」
「え~、お前キツいもん。」
「お願いしまーす!」
「ちょ、てめ聞けよ!」
中学の時に剣道部に入り、高校の今でも部活は剣道。
そんな滅茶苦茶強いって訳でも、剣道一筋って訳でもないけど、まあ剣道は好きだ。
もうすぐ私達には秋季大会がある。
でもやっぱり女子の部員が少なくて、今年も秋季大会の団体戦は無理かな・・・。
「おい、早く着替えてこいよ。」
そしてこの人が、最近引退してしまった島部先輩。
小学校の時から剣道の道場に通っていて、実力は部内随一。
全国大会の三位になったこともあるかなりの実力者。
・・・・・そして密かに、私の憧れの人なんだ。
軽く準備体操と素振りをして、面をつけて基本稽古。
それから―――
「先輩、なまってるなんて言わないで下さいよ。」
「うん、なまってる。」
「―――始めっ・・・!!」
一対一の模擬試合。