・・・・・と、思ったのは私だけで
「あ!駄目ですよ、凱那さんっ!また転んだりしたら、凱那さんの綺麗な綺麗な世界遺産よりも貴重で高貴で美しいお顔が・・・!」
「い、いやーーーっ!!!」
体をガッチリとホールドされ、耳元で呪詛にも近い言葉を囁かれた。
「何で私の名前を知ってるんですか!!ってか離してください!」
「ああ、凱那さんのこの痛くもなく弱くもない絶妙な抵抗・・・!僕みたいな卑しい家畜が凱那さんにこんな表情をさせてるなんて・・・!!」
こ れ は や ば い
いやいやいやおかしいよこの人!!
何で恍惚とした声が聞こえてくるの!?
「ちょ、けっ警察呼びますよ!?誰なんですか、貴方!!」
ジタバタと暴れると、「ああ、そうですね。」と彼は呟いて意外とすんなり離してくれた。
よし、逃げよう。
ガシッ
腕が捕まりました。
「・・・・・く・・・・!!もう!何なんですか貴方は!」
「僕は希彩(きいろ)と申します。・・・・凱那さん、僕とお付き合いしていただけませんか?」
「・・・・・・・・は?」
Pardon?
何と言いましたかこの人。
「・・・・・・つ、つき・・・?」
「はい!僕と、お付き合いしていただけませんか?」
同じことを繰り返したな。
じゃなくて!
「・・・・・え、嫌です。」
「えっ!?な、ど、どうしてですか!?」
「だって貴方、私のストーカーですよね?」
「す・・・!?ち、ちち違いますよ!ストーカーなんてそんな事・・・!!」
ストーカー(仮)さんは慌てて、顔の前でブンブンと両手を振る。
「じゃ、何で私の名前を知ってるんですか?」