『考えゴトがあるからですかね…。』


「ふぅ〜ん。」


『1つ聞いていいですか?』


「何?」


『もし夢と現実のどちらか1つしか選べないなら、どっちを選びますか?』


「何だ?それ…。」


『ちょっと聞いてみたくて…。』


「う〜ん…。夢って言いたいトコだけど、現実かな…。」


『マサキさんも現実ですか…。』


「アシスタントの頃は“自分の店を持ちたい”っていう夢を持ってたけど、現実は甘くねぇ。夢ばっか見てると現実から遠ざかるから…。現実があっての夢だし…。」



マサキはタバコに火を付けた後、話を続けた。



「でも多くの人が、その現実を受け止められずに生きてるんだろうけど…。」


『…。』


「人間、それほど強くないからな…。」



チカは納得する様に頷く。





確かにそぅかもしれない。



輝かしい“夢”を魅せられた後に今という“現実”を突き出されたら、受け止める自信はない。