病院へ着くと階段をゆっくりと登っていく。



その一段一段がチカの胸を引き裂く様に高鳴らせる。



病室の前に来るとノックをせずにドアを開いた。




『ケン!』



胸の高鳴りが叫びに変わる。



その声にピクリとも反応せず、ケンは静かに眠っていた。



寂しいくらいに“スーッ…、スーッ…。”という酸素マスクと“ピッ…、ピッ…。”という心電図の音だけが響いている。




あの頃と同じままの愛おしい寝顔…。



ただ違ったのは痩せ細った体に頬の痩けた顔…。



骨と皮だけの様な右腕…。




別れた時よりも辛い再会があるなんて思っていなかった…。