「次第に君の脳は言うコトを聞かなくなり、記憶力も言語も視力も機能しなくなってゆく。最後は死に至る…。」




何も聞こえない…。



何も聞きたくない…。



色褪せていく…。



全ての色が落ちていく…。



失ってしまうくらいなら、もぅ何も要らない。



大切なモノは必ず失ってしまう…。



いつだって、そうだった…。




分かっているのは間もなく俺の右手足は動かなくなり、やがて死を迎える。



ただ、それだけ…。




「私は手術を勧める。手術かターミナルケア(残された時間を有意義に使うコト)…。どちらを選ぶかは君次第だ…。」



その説得する様な言葉に“考える時間が欲しい”と言い残し、放心状態のままケンは病院を後にした。