「記憶の方は少し戻りましたか?」


「いぇ…。全くと言っていいほど…。もぅ自分の名前も“ハナ”だと思い込んでしまっているの…。」


「僕が漢字で“千華”と書いて教えてしまったからですね…。」


「部屋に籠もりって外に出ようともしないし…。お医者様からは、このまま記憶が戻らないコトも…。なんて言われていて…。もぅどうしていいか…。」



多少の回復を見込んでいたマサキだったが、期待は呆気なく砕かれた。